赤い糸/第一話
『貴方に出会うために恋をする』

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(携帯で打ち込まれた文字)
-神様によってアタシと貴方の小指に結ばれた
一本の赤い糸
この運命の絆は目には見えない
そして貴方への地図だってない
だからアタシは、貴方に出会うために恋をする-

(幼少シーン・2000年2月29日)
ケーキ屋の店内。
小学生の芽衣は、ケーキが出来上がるのを待っている。
ガラスの向こうで、ケーキ職人がテキパキと作っている
ショートケーキを食い入るように見ている。
母親の呼びかけにも気づかない。
「ちょっとこの子、見ててもらえます?
すぐ、戻りますので。」
店員に、そう告げて母親は店を出て行った。
チョコレートプレートに書かれた文字は、
『おたんじょうびおめでとう
2000.2.29めいちゃん』
今日は、芽衣の誕生日のようだ。
出来上がったケーキが入った箱を抱えて、
芽衣が店の外へ出てくる。
「おかあさんに見せてくる!」
母親が戻ってくるのを待ち切れなかったのか、
外へ飛び出す。
そこへ、角を曲がってきた自転車が突っ込んできた。
ケーキの箱は道路に投げ出され、
芽衣も、自転車に乗っていた少年も
道に倒れこんでしまう。
「ごめんなさい!大丈夫?」
芽衣が声をかけると、少年は大丈夫といって
立ち上がった。
落ちた衝撃で崩れてしまったケーキを見て
「ぐちゃぐちゃだね、ごめん…」
と謝る少年。
「どうしたの?大丈夫?」
異変に気づいた店員が、外に出てきて
新しいケーキに取り換えてくれた。
「今日誕生日なの?」
という少年の問いかけに芽衣はうなづく。
閏年生まれであることを得意気に少年に
話すと、なんと、少年も今日が誕生日だと言う。
「すごい!奇跡だね、アタシたち!」
と喜ぶ芽衣。
今日は誕生日会をしてもらえる芽衣に対して
誕生日会をしてもらえるか分からないという
元気のない少年。
芽衣は、少年に、ケーキの上のプレートを
プレゼントする。
『おたんじょうびおめでとう』
と書かれたチョコレートのプレート。
少年と手を振り別れた後、母親とふたり
家路を急ぐ芽衣。
ちらちらと雪が降りはじめた。
天を仰ぎ、雪を掴もうと手を伸ばす芽衣。

舞散る雪が、桜の花びらに変わり、春。
天を仰ぎ、降ってくる花びらを懸命に掴もうと
している制服姿の少女。
「芽衣」 と呼ばれ、振り向くと、制服姿の少年が駆け寄ってくる。
少年は手を伸ばし、芽衣の髪についた花びらを取って
手渡す。
「今度はなんのおまじない?」 少年にそう訊かれ、芽衣は、
地面に着く前に三枚の花びらを取ると願いが叶う
という、おまじないの説明をする。
何をお願いしたかを他人に話すと、効力がなくなる
ので、お願いしたことは内緒だ。
「なにしてるの?」
そんなやりとりをしている2人の背後から
歩み寄ったのは、芽衣の姉。
新しい制服を芽衣に褒められ、ご満悦の姉、春菜
「どう?悠哉?」
悠哉と呼ばれた少年は、春菜の問い掛けを
照れてはぐらかす。
「まぁいいんじゃん?ピカピカの女子高生って感じで。」
芽衣は、さっき手にした三枚の花びらを
ハンカチに包んでポケットにしまった。

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